せつ菜「はぁ……今日から始まった新アニメもなかなかいい感じですね。つい見入ってしまいました」
せつ菜「主人公が異世界へ転生してチートスキルで無双するのはお決まりですけどやっぱり燃えますね!」
せつ菜「叶うなら私も異世界に転生してカッコいいヒーローになってみたいですね。弱気を助け強きをくじく! 素敵です!」
せつ菜「……なんて誰かに言ったら高校生にもなってって呆れられちゃうかな。ふふふっ」
せつ菜「よしっ、期末試験も近いですし頭を切り替えて勉強勉強、っと……少しお腹が空いてきました」
せつ菜「……うーん、空腹が気になって集中できなくては困りますし、コンビニで何か買ってこようかな」
彼方「深夜徘徊なんて彼方ちゃんは悪い子だなぁ~……ねむぅ……はやく帰ってお昼寝しよ~っと」
せつ菜「ん? あそこを歩いてるのは彼方さん?」
彼方「すやぁ~……すやぁ~……」ウトウト
プップー!
せつ菜「あ、危ないですっ!!」ドンッ
彼方「わわっ!」ドサッ
キキィーーーーッ!!!!
せつ菜ちゃんドーーーーンッ!!!!
彼方「……ぇ? せつ菜、ちゃん……?」
†††††††††????†††††††††
せつ菜「――――――――んっ、んんぅ……あれ? ここは」
せつ菜「私は、たしか事故で……でも生きてる? しかも怪我もしてないみたいですし」
せつ菜「……??」
せつ菜「そんなことより、ここはっ」
???「やっと目を覚ましたようじゃのう」
せつ菜「あ、あなたは……!」
???「ワシか? ワシは」
せつ菜「神様ですね!」
せつ菜「そう、そして私は交通事故に巻き込まれて死んだ……たぶん神様の手違いによって」
せつ菜「でも元の世界に生き返らせることは難しい……だから私がこれまで生きてきた世界とは別の世界でもう一度人生をやり直す機会を与えてくれようとしている……」
せつ菜「でもその世界は私が暮らしてきた世界とは全然違っていて魔物や魔法が存在する世界……今のままの私がそこで生きていくことは難しい……」
神様「あの、もしもーし?」
異世界転生できるのはニートか社畜に限るのではないのか?
せつ菜「こうして神様と対面しているということは何かしら私の要望を聞き入れてくれようとしているに違いない」
せつ菜「じゃあそこで私は何を望むのか……武術のスキル、魔法の会得、それとも現代の知識を活用するためにスマホを持っていくのがいいのでしょうか」
せつ菜「うーん……悩みます」
神様「これ、人の話を聞かんか!」
せつ菜「え? はっ! す、すみませんっ、私また暴走して…」
神様「こほんっ、まあいいじゃろ……まず小娘、お主の名は」
せつ菜「菜々……いえ、せつ菜です。私は優木せつ菜です!」
神様「せつ菜か。してせつ菜よ、先程からお主が一人でぶつぶつ呟いていたことじゃが」
せつ菜「…はい」
神様「すべてその通りじゃ。……その通りなのじゃが、どうして知っておる?」
せつ菜「それはですね、ふふふ……私が異世界転生系のアニメやラノベを大好きだからです!」
神様「……せつ菜よ」
せつ菜「はい!」
神様「何故そうも前向きになれる。若くしてその生を奪われたことによる未練はないのか」
せつ菜「……ありますよ」
せつ菜「あるに決まってます……っ、本当ならもっともっとみんなとスクールアイドルをやっていたかった。叶えたい野望も山のようにあったのに」
神様「ならば何故」
せつ菜「大切な仲間を守れたんです。たぶんそれだけで私がこれまで生きてきた意味があったんだと思うんです」
せつ菜「短い生涯でしたけど、私は幸せでした。残ってしまった未練、野望はこれから私が生きる新しい世界で成し遂げたいと思うんです!」
神様「……わかった」
神様「これからお主が向かうこととなる世界は過酷なものであるが、お主なら必ずや立派に生きる務めを果たせよう」
せつ菜「はい!」
神様「では行くがよい。せつ菜よ」
せつ菜「はい! …あ、いやその前にチートスキルを私に」
ヒュィーーンッ……!
せつ菜「って、もう転移が始まって――――――――」
神様『優木せつ菜に天下無敵の幸運を』
せつ菜「か、神様っ……まだ何かお忘れではぁ!?」ヒュィーンッ
神様『おお、そうじゃったそうじゃった』
神様『手違いで死なせてしもうた人間は他にもおってだな。その者の面倒を見てやってくれ』
せつ菜「えぇーーーーっ!?」ヒュィーンッ…
――――――――???
せつ菜「――――――――…………ぅ、うぅ……はっ!」
せつ菜(森の中……? もしかしてもうここは異世界……?)
せつ菜「…………??」
せつ菜(…とくに凄い力がみなぎってくるという感覚は今のところありませんね)
せつ菜(……身に付けているものはスクールアイドルの衣装。持ち物は何もなし)
せつ菜「…………もしかして、私騙されたんじゃ」
せつ菜「異世界無双のチートスキルどころか今にもゲームオーバー寸前じゃないですか」
せつ菜「と、とにかく! まずは水と食料、そしてアジトの確保を……町はどこに」
「きゃぁーーーーっ!!!!」
せつ菜「悲鳴!? 向こうの方からみたいです!」
せつ菜「助けないとっ!」
せつ菜「どうされたんですか!? …え?」
せつ菜「ば、ばけものっ……いえ、あれは魔物なのでしょうか? というより、植物……?」
せつ菜(まるで生き物のように森に生えてる木の一つが動いてる……その木から伸びるつたに絡められてる人間……え?)
かすみ「なんなんですかっ、なんなんですかぁ~!?」
せつ菜「か、かすみさん!?」
かすみ「ぇ……せつ菜先輩!?」
せつ菜「…え、えっと、こんなところで何してるんですか?」
かすみ「かすみんの方が聞きたいですよぉっ! 起きたらこの変な植物に捕まってて……とりあえず助けてください~っ!」
せつ菜「わかりました」ザッ
かすみ「あぁっ、やっぱちょっと待ってくださいっ! こっち来ちゃダメですっ!」
せつ菜「え?」
かすみ「一つお聞きしますけど、せつ菜先輩……どうやってかすみんを助けようとしてます?」
せつ菜「かすみさんが絡まってるつたをほどいて」
かすみ「そんなのせつ菜先輩まで捕まっちゃうこと目に見えてるじゃないですかぁ~! べつの方法を考えてくださいっ!」
せつ菜「別の方法……うーん、そうですね」
せつ菜「あっ、そうだ!」
せつ菜「紅蓮の炎よ、この手に宿れ……フレイムバーストストリーム――――――――ッッ!!」
せつ菜「…………」
かすみ「…………」
せつ菜「やっぱり出るわけないですよね」
かすみ「出てたらかすみん丸焦げですよっ!!」
>>7 今クールアニメの私、能力は平均値でって言ったよね!はこれのせつ菜みたいにJKだよ
――――2時間後
せつ菜「はぁ……はぁ……」
かすみ「うぇ~んっ! はやく助けてくださいよぉ~っ!」
せつ菜「遠距離から攻撃できる手段もなく、近付けばあのつたに絡め取られてしまう……刃物も持って無ければかすみさんが自力で脱け出ることも不可能……こうなったら」
せつ菜「誰か人を呼んできます」
かすみ「やだやだぁ~! かすみんをひとりにしないでくださいよぉ~! せつ菜先輩~っ!」
せつ菜「ですが、私に出来ることは何も」
かすみ「じゃあもう駄目元で突っ込んできてくださいっ! せつ菜先輩が捕まるまでになんとかかすみんだけでも解放してくださいっ!」バタバタッ
せつ菜「私はどうなってもいいと…」
せつ菜(……しかし、こうなってはかすみさんの言う通りの強引な手段しかありません)
せつ菜(何か武器になりそうなものは…)コトッ
せつ菜「この木の枝くらい……え?」
せつ菜(これは……!)
かすみ「うぇ~んっ! かすみんもう限界ですぅ~! おしっこ漏れちゃいそうですよぉ~!」
せつ菜「……かすみさん、少しの間だけ目を瞑っていてください」
かすみ「へ…?」
せつ菜「はぁぁぁぁーーっ!!」
せつ菜(わかる……! その辺に落ちてるただの木の枝でも、私の大好きを注げばっ)シャキーンッ
せつ菜(きたっ!)
せつ菜(木の枝が剣に……! これが私に備わったチート能力!)
スパッ――――!!
かすみ「ふぇ……?」
せつ菜「かすみさん、もう大丈夫ですよ」
かすみ「せ、せつ菜、せんぱ――――――――うぇ~~んっ! かすみんこわかったよぉ~~っ!」
せつ菜「すみません。すぐに助けてあげられればよかったんですが」
せつ菜(ところでどうしてかすみさんまでこっちの世界に……?)
せつ菜(…あっ! あの時、神様が私の他にもって……)
かすみ「そ、そうですよっ、かすみん死ぬほどこわい思いしたんですからねっ!」
せつ菜「というかもう死んでるんですけどね」
かすみ「はい……?」
かすみ「異世界転生? ってなんですか?」
せつ菜「簡単に説明するとですね、元いた世界で死んでしまった人が別の世界で無双することです」
かすみ「む、無双……?」
せつ菜「はい! さっきの私みたいにかすみさんにもきっとすごいチート能力が備わっているはずです!」
せつ菜「かすみさんの能力ってなんなんでしょう……気になります! 教えてください! はやく!」
かすみ「お、落ち着いてくださいってば! せつ菜先輩! また暴走しちゃってますよっ」
かすみ「そもそもかすみんのチートはこのかわいさに決まってるじゃないですかぁ~」
せつ菜「いえ、そういうことではなくて」
かすみ「というかですねっ、さっきからせつ菜先輩の言ってることがかすみんまったく理解不能というか……そもそもっ、かすみんが死んでるってなんの冗談ですか」
せつ菜「冗談ではありません! ここは素晴らしき異世界ですから! かすみさんはもう死んでます」
かすみ「秘孔でも突かれたんですかね……たぶん疲れてるのはせつ菜先輩の頭なのに」
せつ菜「昨晩の記憶、思い出せますか?」
かすみ「そんなの当たり前ですっ、昨日は練習が終わった後すぐ家に……家に……あれ?」
かすみ「家に帰ったはずなのに、どうやって帰ったか、本当に帰ったのか記憶が……」
せつ菜「ほら! やっぱり死んでるんです!」
かすみ「なんでそんな嬉しそうなんですかっ!」
かすみ「……わかりました。とりあえずせつ菜先輩の話を信用してあげることにします」
かすみ「それで、これからどうするつもりなんですか? ここが本当にかすみんたちがいた世界とは別の世界なら」
せつ菜「はい! やることはもう決まっています!」
かすみ「おぉ、意外と計画的なんですね……せつ菜先輩ってもっと勢いに任せて行き当たりばったりなのかと」
せつ菜「無双です!」
かすみ「……はぁ?」
せつ菜「だってせっかくチート能力を手に入れたんですよ!? これはもうこの世界で無双するしかないじゃないですか!」
かすみ「い、いやいやっ、意味がわかりませんし!」
せつ菜「異世界無双こそが我が覇道、です!」
かすみ「更に意味がわからない」
せつ菜「わからないなら私についてきてください! かすみさん!」
かすみ「いやですよっ! そんなわけのわからないものにっ、かわいいかすみんはみんなにチヤホヤされたらそれでいいんですぅ!」
せつ菜「……! ああ、これはあれですね!」
せつ菜「元は仲間だった二人が別々の道へ、そして再開した時は敵同士……燃えてきます!」
かすみ「……はい?」
せつ菜「お互い今より力をつけて、またお会いしましょう! では!」スタスタ
かすみ「……え?」ポツン
かすみ「ま、待ってくださいよぉ~! せつ菜先輩~! かすみんをひとりにしないでください~っ!」
なろうの死因=トラックみたいに言われてるけどぶっちぎり1位は不明で次点はトラック以外の交通事故だぞ
トラックは通り魔とかに殺害されたと大差ない
>>31 寝ゲロ1wwwwww
まぁいきなり体が四散した人とかもいたし説明なしで最初から異世界な人も割といるもんな
異世界転生するまでもなく虹はせつ菜無双なんだよなぁ
多少の苦難は期待したい
異世界転生って本来着のみ着で海外に独り取り残されるよりハードモードだからな
異世界は無双じゃなくてハーレムだ
現地婿をたくさん作るかすみんに期待
現実世界でも大概チート性能なのに異世界でこれ以上何を求めるつもりだこの子は
せつ菜「また私何かやっちゃいました?(中間1位)」
――――謎の森
ガサガサ…
せつ菜「~♪」
かすみ「……せつ菜先輩……せつ菜先輩っ!」
せつ菜「はい?」
かすみ「ちょっと待ってくださいよぉ、歩くの速すぎです……かすみん疲れちゃって」
せつ菜「あ、すみません! 普段歩き慣れてないところだと疲労も増しますよね」
かすみ「なんでせつ菜先輩はそんな余裕なんですか…」
せつ菜「だってワクワクするじゃないですか! 楽しいことしてる時って不思議と疲れを感じないってよくありませんか?」
かすみ「かすみんは楽しくないですよぉ~っ! さっきから同じようなところをぐるぐる歩いてばっかりで…」
かすみ「町に向かうんじゃないんですか? かすみん早くお風呂に入ってふかふかのベッドで休みたいんですけど」
せつ菜「……」
かすみ「……もしかして迷ったとか、そんなわけありませんよね~?」
せつ菜「いえ、元々道を知らないので迷った迷ってないという次元の話ではないですよ!」
かすみ「えっ、じゃあ今まで適当に歩いてたんですか!? かすみんそれに付き合わされてたんですか!?」
せつ菜「そんなことよりかすみさん」
かすみ「そんなことよりって…」
せつ菜「…妙だと思いませんか?」
かすみ「え?」
かすみ「妙って、何がですかぁ?」
せつ菜「たしかに私たちはこの森を適当に歩いていました。でも方角を1点に絞って直進していたつもりです」
せつ菜「……そのはずなのに」
かすみ「……?」
せつ菜「この場所、見覚えありませんか? かすみさん」
かすみ「森なんですから大体同じ風景……あっ! このつた! かわいいかすみんを何時間もの間、ギッチギチに縛っていたものです!」
せつ菜「そうなんです」
かすみ「ということは…」
せつ菜「…はい」
かすみ「せつ菜先輩の方向音痴……信じてついてきたかすみんがバカでした」
せつ菜「ち、違います! 私はそんなミスしません!」
かすみ「ならなんだっていうんですかぁ? 森が動いてるわけがないですし」
せつ菜「森が、動く……? はっ! たしかにその展開もあり得ます! さすがかすみさんです! 良いシナリオライターになれそうですね」
せつ菜「でも私はこっちの展開を推していきたいと思います! かすみさん、よく聞いていてください」
かすみ「今度はなんですかぁ~……?」
せつ菜「この森には、結界が張られています」
こういうの転生目線でみると笑えるけど残されたメンバーや現実世界のこと考えると鬱になるわ...
転生できないし笑えないし現実世界のこと考えると鬱になるわ