ティラノサウルスはこんな顔だった、最新報告
人の指先より鋭い触覚の可能性も、謎の化石が新種と判明
ティラノサウルス科の恐竜の顔が、これまでにない精度で再現された。状態の良い7500万年前の化石から、古生物学者たちが
作り上げたものだ。研究成果は3月30日に科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
この頭骨化石は、ダスプレトサウルス・ホルネリ(Daspletosaurus horneri)と命名された新種だ。白亜紀後期に、現在の米モンタナ
州北部からカナダ、アルバータ州南部にまたがる地域を闊歩していた。研究者たちは骨に残った痕跡から、その顔は平らなうろこで
覆われ、現生のワニの一種であるクロコダイルのように、極めて敏感な触覚を備えていただろうと話す。
米ノースイースト・オハイオ医科大学の解剖学者兼神経生物学者、トービン・ヒエロニムス氏は、「私たち人間はみな顔に軟組織が
あるので、軟組織を通じて伝わってくる感覚を受け取っています」と話す。「その代わりに、鳥やトカゲの感覚器は骨の真上にあり、
皮膚も薄いので、顔面の感覚は非常に鋭敏です」
ダスプレトサウルス・ホルネリも同様だとすれば、この恐竜やその近縁である巨大な肉食恐竜、ティラノサウルス・レックスなども、
クロコダイルによく似た振る舞いをした可能性がある。
例えば、ティラノサウルス科の敏感な顔面は、獲物を扱うのに役立ったかもしれない。水に浮かぶクロコダイルは、真っ暗でも近くにいる
動物の位置を特定し、仕留められる。これは、とても鋭い触覚を備えた感覚器が全身に並んでいるためだ。小さなできもののようなこの
感覚器は「外皮感覚器(ISO:Integumentary Sensory Organ)」と呼ばれている。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の博士研究員で、ワニ類の皮膚を詳しく調べてきたダンカン・リーチ氏は、この器官は触覚
以外も感知でき、さまざまな場面で重宝すると話す。例えば、クロコダイルはこれらの感覚器が並ぶ鼻先を泥に突っ込んで、最適な温度の
産卵場所を探すという。
「興味深いことに、ISOはクロコダイルがあごを使って行う独自の繊細な動作にも一役買っているようです。例えば、孵化する卵を割るとき
などです」とリーチ氏。
皮膚の下にある組織を、死んでから数千万年後に骨だけを元に再現できるのは驚きかもしれない。だが生きている骨は、まったく変化しない
静的なものではない。筋肉、神経、血管に絶えず物理的な刺激を与えられ、栄養を供給されながら日々新たに作られている。
そのため、化石となった骨には、組織ごとに異なる刻印が表面にも残される。これが古生物学者にとって、はるか昔に骨を覆っていた構造の
ヒントとなる。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/040300122/
人の指先より鋭い触覚の可能性も、謎の化石が新種と判明
ティラノサウルス科の恐竜の顔が、これまでにない精度で再現された。状態の良い7500万年前の化石から、古生物学者たちが
作り上げたものだ。研究成果は3月30日に科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
この頭骨化石は、ダスプレトサウルス・ホルネリ(Daspletosaurus horneri)と命名された新種だ。白亜紀後期に、現在の米モンタナ
州北部からカナダ、アルバータ州南部にまたがる地域を闊歩していた。研究者たちは骨に残った痕跡から、その顔は平らなうろこで
覆われ、現生のワニの一種であるクロコダイルのように、極めて敏感な触覚を備えていただろうと話す。
米ノースイースト・オハイオ医科大学の解剖学者兼神経生物学者、トービン・ヒエロニムス氏は、「私たち人間はみな顔に軟組織が
あるので、軟組織を通じて伝わってくる感覚を受け取っています」と話す。「その代わりに、鳥やトカゲの感覚器は骨の真上にあり、
皮膚も薄いので、顔面の感覚は非常に鋭敏です」
ダスプレトサウルス・ホルネリも同様だとすれば、この恐竜やその近縁である巨大な肉食恐竜、ティラノサウルス・レックスなども、
クロコダイルによく似た振る舞いをした可能性がある。
例えば、ティラノサウルス科の敏感な顔面は、獲物を扱うのに役立ったかもしれない。水に浮かぶクロコダイルは、真っ暗でも近くにいる
動物の位置を特定し、仕留められる。これは、とても鋭い触覚を備えた感覚器が全身に並んでいるためだ。小さなできもののようなこの
感覚器は「外皮感覚器(ISO:Integumentary Sensory Organ)」と呼ばれている。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の博士研究員で、ワニ類の皮膚を詳しく調べてきたダンカン・リーチ氏は、この器官は触覚
以外も感知でき、さまざまな場面で重宝すると話す。例えば、クロコダイルはこれらの感覚器が並ぶ鼻先を泥に突っ込んで、最適な温度の
産卵場所を探すという。
「興味深いことに、ISOはクロコダイルがあごを使って行う独自の繊細な動作にも一役買っているようです。例えば、孵化する卵を割るとき
などです」とリーチ氏。
皮膚の下にある組織を、死んでから数千万年後に骨だけを元に再現できるのは驚きかもしれない。だが生きている骨は、まったく変化しない
静的なものではない。筋肉、神経、血管に絶えず物理的な刺激を与えられ、栄養を供給されながら日々新たに作られている。
そのため、化石となった骨には、組織ごとに異なる刻印が表面にも残される。これが古生物学者にとって、はるか昔に骨を覆っていた構造の
ヒントとなる。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/040300122/
