ある選挙プランナーが言う。
「印刷代だけで上限に達したため、デザイン代を自費で出したというケースは想定しづらい。
デザイン費を含めて公費請求の対象とするのが普通です。供託金没収ラインを超えられそうにない候補から取りっぱぐれるのを防ぐため、業者側が“保険”としていくらか請求することはあり得ます。
しかし、知名度の高い斎藤氏が没収ラインを超えられない事態は考えられない。金額自体は妥当な水準ですが、不自然な請求書だと思います」
メインビジュアルの企画・制作は「異常な安さ」
おかしいのは、チラシやポスターのデザイン代だけではない。
10万円となっているメインビジュアル企画・制作の費用について、広告デザインに詳しい広告業界関係者は「異常な安さだ」と言い、こう続ける。
「メインビジュアルとは、ポスターやSNS、HPで使う代表的なイメージ画像のこと。折田社長はブログで〈メインビジュアルの統一を徹底するため『デザインガイドブック』の作成〉を行ったとしています。
このガイドブックは、ポスターやチラシ、SNS、のぼりや選挙カーのラッピングに至るまで、統一感のあるデザインを施すための“設計図”のようなもので、あらゆる広告の肝と言える。
プロのデザイナーが手がける場合、最低でも30万円はかかります」
折田氏はnoteで、メインビジュアルに使用する斎藤知事のプロフィル写真の撮影に関し〈大阪にプライベートスタジオをお持ちの信頼できるカメラマンさんと、友人に紹介してもらったヘアメイクさんに急遽ご依頼をしました〉と投稿。これらの費用も含めると、10万円ではとても済まない。
「折田社長は知り合いに超格安で依頼したのでしょうが、それにしてもあり得ない安さです。プロのカメラマンなら報酬は10万円は下らないし、スタイリストへの支払いも3万円はかかる。
メインビジュアルの企画・制作を10万円でやってくれるなら、全国のクライアントがmerchuに依頼するでしょう」(同前)
何を聞かれても「法令違反はない」と繰り返す斎藤知事。請求書を示したからといって「無罪放免」とはならない。