女性活躍推進法施行から6年を経ても、大企業の男たちが女の目を見ようともしない社会であることが、その答えなのだろう。「多様性大事、SDGs大事、私たちちゃんとやってますよ~」、という空気はつくられているが、そこには中身や、核となる芯がない。押せばヘコヘコとしぼむゴムボールのようなもので、真剣ゲームはできないが手軽に遊ぶには問題ない軟らかさだ。それでも、ないよりはあったほうがまし……と、はずまないボールをつかまされているのが日本の女の現実だ。
そういえば、安倍昭恵さんが登壇した17年の国際女性デーのイベントでは、「日本の未来を元気にする現役女子大生『キャンパスクイーン』」6人がつくった「幸せの黄色い花のミニブーケ」と彼女たちの目標を記した「幸せの黄色いハンカチ」を発表して、1人ずつ「夢宣言」を行うイベントがあった。現役女子大生とかキャンパスクイーンとか、そういう言い方がもう……という話なのだけど、日本の国際女性デーからは、そんなふうな、キラキラ光る宝石箱の中に若い女性を押し込めて無理やり夢を前向きに語らせようとするような怖さがある。男女平等を命がけで求めた泥臭い女の運動の歴史などはなかったかのような、軽さがちょうどいいのよ、男は恐がりだからあまり強くならないで……な、こぢんまり感がある。そしてそういう空気こそが、安倍さんのつくってきたものなのだろう。
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