
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-09-22/2018092201_06_0.html
料理、入浴、掃除に洗濯…。水は誰にとっても生活に不可欠です。その水道事業がもうけ本位の民間企業の手に渡ったらどうなる?
そんな危険を封じ込めようと先手を打った都市があります。米東部ボルティモア市です。市の下水道や水供給のシステムは「譲渡できない」。
市議会は今年8月、市のルールを定めた憲章の改正を決定。水道事業の売却やリースを禁止しました。全会一致での可決です。
きっかけは、水メジャー(巨大企業)が市の水道事業への参入を狙っているという地元紙報道でした。
環境団体などが民営化の問題点を宣伝し、反対世論がみるみるうちに広がりました。
決め手になったのは「水の利用は基本的人権」という指摘です。水道料金の高騰、水質低下、設備投資の後退。
市議会に寄せられた意見の多くは、民営化が市民の生存権そのものを危うくした各地の前例についてでした。
「企業の利益を最優先、市民は後回し。民営化はどこでも破綻している」
一度は水道が民営化されたパリやベルリンも、市民が不利益を被り、再公営化へかじを切りました。
ボルティモア市の憲章改正は今後、住民投票での承認が必要です。
しかし、市が「水道事業は値段を付けられないほど貴重なもの」と意思表示したことは世界の流れを一層鮮明にしました。
日本では先の国会で、水道事業への企業参入を促す法案が衆院で通過。
参院で継続審議となっています。廃案に追い込み、今度は日本から「水は基本的人権」の意思を示すときです。