会津大(福島県会津若松市)などは、仮想通貨の基盤となる先端技術「ブロックチェーン」を用いた地域通貨「白虎びゃっこ」の本格的な活用を5月以降に始める。
会津地方の観光施設でも利用できるようにして、誘客につなげたい考え。情報技術(IT)で地域活性化を図る試みとして注目されそうだ。
地域通貨「白虎」は会津大や東京大、東京のIT企業などが共同で開発した専用アプリを使い、ネット上でお金をやりとりするもの。
利用者はスマートフォンやタブレットにアプリをダウンロードし、事前に一定金額を店などでチャージする。
商品購入時は、店のタブレットに表示されるQRコード(2次元バーコード)をスマホなどのカメラで読み取る。するとネット上でお金がやりとりされ、支払いが完了する仕組み。
取引の記録に「ブロックチェーン」と呼ばれる先端技術を使っているのが「白虎」の特徴だ。「分散型台帳」とも呼ばれ、複数のコンピューターで監視するため、金額などの改ざんが難しい。
費用のかかる大型サーバーを用意する必要もない。一般的なスマホやタブレットを使うため、小規模店で導入しやすいのも特徴だ。
会津大などは、会津地方の商店主らに「白虎」を活用してもらうことで、観光誘客や消費拡大につなげようと、昨年6月から実用化に取り組んできた。
観光客にとって、最先端の技術に触れながら、おもしろがって買い物することができ、旅行の楽しみが増える。
開発に携わった会津大の藤井靖史准教授(39)は「流行に敏感な若者に、会津へ興味を持ってもらうきっかけになれば」と話す。
会津大の売店や食堂では3月に実証実験が行われ、学生が「白虎」で支払いを行った。5月以降に本格的に学内で導入する。同大などは観光施設でも利用できるように取り組むほか、将来的には「白虎」でしか購入できない商品の開発も検討しているという。
開発者の鍛かじ哲史さん(22)は「ITで会津の力になりたい。会津地方全域で流通する通貨に育てていきたい」と語る。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170414-OYT1T50100.html