透析理由に刑執行できず 万引き常習・防府の女、再犯後死亡
スーパーで万引を繰り返したとして常習累犯窃盗の罪に問われ、
山口地裁から昨年8月に懲役2年4月の実刑判決を受けた防府市の
無職女=当時(71)=が、人工透析の治療を理由に刑の執行を
停止されていたことが分かった。全国で人工透析が必要な受刑者を
収容できる刑務所が不足している問題が背景にある。
人工透析が必要な確定者を収容できる刑務所に空きがなかったため、
女は昨年9月の判決確定後、自宅で通院しながら待機していたが、
刑が未執行の状態で再び万引。今年3月8日に同罪で懲役2年8月の
判決を受けた。
3月8日の判決によると、昨年9月22日、防府市内のスーパーで
米1袋など計10点(販売価格計5738円)を盗んだ。前回の罪で
実刑が確定した8日後の犯行だった。女は判決後に死亡した。
弁護士などによると、女は糖尿病などで2017年ごろから
1日4時間の人工透析を週3回受けていた。その間に万引を
繰り返し計2回の実刑判決を受けた。
法務省矯正局によると、全国で人工透析が可能な刑務所は9カ所
あるが、女性が入所できるのは東日本成人矯正医療センター
(東京都)と大阪医療刑務所(大阪市)の2カ所のみ。
同省刑事局によると、全国の59検察庁で3月26日現在、
人工透析を理由に刑の執行を停止している男女の確定者は
71人いるという。
日本透析医学会によると、全国で人工透析を受けている患者は
17年末現在33万4505人で、16年末と比べて約5千人
増加している。
刑事事件で実刑判決を受けた確定者が収監されない場合、
ほかの受刑者と比べて刑の執行に不公平が生じかねない。
同省刑事局は「個別の刑の執行は検察官が判断することであり、
答える立場にない」としている。
山口新聞(2019年4月6日(土)掲載)
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2019/0406/5.htmlhttps://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2019/0406/5.html