梅雨明けが遅れたソウルは例年になく蒸し暑い。こんな季節には韓国人たちは「イヨルチヨル(以熱治熱)」といってかえって熱くて激辛の鍋物を食する。「熱でもって熱を治める」である。
そして顔中汗だらけになりながら「シウォネ!」という。「涼しい」とか「スカッとする」という意味だ。だから日本のウナギのように夏バテ防止食になっている薬膳系の「参鶏湯(サムゲタン)」も激熱(げきあつ)の鍋である。
それでも夏の日本人は激熱でいささか胃に重たい鍋物より時にはやはり魚系がほしい。そこで発見したのが「ニベの刺し身」と「ハモのしゃぶしゃぶ」である。
ニベは韓国語で「ミノ」といって魚屋でよく見かける灰白色の結構大きな魚だが、旬の夏に刺し身がうまいとは知らなかった。タイのような白身でタイよりは柔らかく、ほのかに脂がのったあっさり系の美味である。
一方、アナゴに似たハモは近年、ソウルで専門店ができている。開いた身の小骨を断ち切ったのをさっと湯がいて食するスタイルが多い。旬だけに脂がのっておりこれを韓国的野趣でワイルドに山盛り食わせる。
韓国でもウナギ屋はあり目の前で焼いてハサミで短冊に切って食わせるが、焼きすぎてかりかり感がありいまいちだ。夏は似たような姿でハモの方がいい。(黒田勝弘)
http://www.sankei.com/column/news/170805/clm1708050006-n1.html