歩夢 「……」
歩夢 (何を言うのかを忘れてしまった……！)
侑 「……？」
侑 (どうしたんだろう、歩夢……今のっていつものやつだよね)
侑 (もしかして「私は覚えてるけど侑ちゃんはもちろん覚えてるよね？ 当ててよ」ってこと！？)
侑 (私は試されてる……！)
侑 「もちろん覚えてるよ、この公園のこと」
歩夢 「！？」
侑 (多分この場所にまつわる思い出のはず……思い出せ、思い出せ！！)
歩夢 (えっ……この公園はたまたま通っただけで、今日初めて通ったと思うけど……)
歩夢 (もしかして私が覚えてないだけで二人の思い出がある場所なの！？)
侑 (うーん、思い出せない)
歩夢 (なんで、どうして、なぜ思い出せないんだ！ 私！！)
歩夢 「そうだね、懐かしいねこの公園」 ﾆｺｯ
歩夢 (とりあえず誤魔化そう)
侑 「うん、懐かしいよねぇ」
侑 (この反応を見るにやっぱり歩夢が出したクイズはこの公園にまつわる思い出のこと……)
侑 (しかし全く思い出せないぞ……もしもこのまま思い出せなかったら)
歩夢 『侑ちゃん、あなたがそんな人だと思ってなかった』
侑 『あ、歩夢、ごめん、本当にごめんなさい……』 ｱｾｱｾ
歩夢 『さよなら侑ちゃん、いこっ、せつ菜ちゃん』
せつ菜 『関係ドロドロですね！！ 漫画みたいで面白いです！！！！』 ﾍﾟｶｰ
侑 『なっ、歩夢、せつ菜ちゃんの方が大事なの！？』
歩夢 『うん。もう愛想つきちゃった。さよなら、侑ちゃん』
侑 『そんなぁ……歩夢ぅ……』 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
侑 (なんてことになりかねない……！)
侑 「ここも良い思い出の場所だよね」
歩夢 「だねぇ」
侑 「懐かしくって心がときめいちゃうよ！！」
歩夢 「ふふふ」
侑 「あのときの歩夢ったら……今思い出しても懐かしいなぁ」
歩夢 「もぅ侑ちゃんったら///」
侑 (秘技！ 懐かしいダイサクセン！！)
侑 (なんと、話をテンポよくしてるように見えて、実は「懐かしい」の一点張りだという狡猾な技だ。なんとも恐ろしい)
歩夢 「それで具体的に何が懐かしいの？」 ﾆｺﾆｺ
侑 (はい、詰んだーー)
歩夢 (とりあえず思い出せてないことがバレるわけにはいかない。なんとかエピソードを侑ちゃんから引き出さないと)
侑 「懐かしかったんだよ」
歩夢 「だから何が」
侑 「この公園が！」
歩夢 「それは分かったよ、具体的なエピソードを聞いてるんだよ」
侑 「この公園の歴史でも言えばいい？」
歩夢 「いや公園自体のエピソードじゃなくてね」
侑 (まずい……まずい……まずい……！！！！)
歩夢 (もしも私がこの公園の思い出を、一切思い出せてないことがバレたら……)
侑 『歩夢、いつもあんなに記憶力アピールしてたのに……結局歩夢にとって私はそんなものだったんだね』
歩夢 『侑ちゃ、侑ちゃん、ごめんなさい、本当にごめんなさい……』 ｱｾｱｾ
侑 『さよなら歩夢、いこっ、せつ菜ちゃん』
せつ菜 『関係ドロドロですね！！ 漫画みたいで面白いです！！！！』 ﾍﾟｶｰ
歩夢 『侑ちゃんはせつ菜ちゃんの方が大事なの！？』
侑 『うん。もう歩夢に合わせるのも疲れちゃった。さよなら、歩夢』
歩夢 『そんなぁ……侑ちゃん……』 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
歩夢 (そんなの……そんなの嫌だよ……)
歩夢 (だからなんとしても、思い出せるようなキーワードを侑ちゃんから、自然に引き出さないといけない)
歩夢 「侑ちゃん、早く答えて？」
侑 「……別に言ってもいいけどさ、なんで歩夢はそんなに急かすの？ なにかやましいことでもあるの？」
歩夢 「！？」
侑 (ばかっっーーーーー！！ あるわけないだろ、そんなのっ！！ だってあの歩夢だよ！？ スーパー可愛い良い子ちゃん歩夢だよ！？)
侑 (ついバレないために難癖をつけてしまった……！)
@cﾒ;˶ˆ ᴗ ˆ˵ﾘ💦💦⎛(VŌ ᴗ Ō;Vɔ⎞💦💦
侑ちゃんのせつ菜ちゃんに対するイメージよw
最近グータッチやり始めたから警戒してるのかな？w
歩夢 「……」 ｱｾｱｾ
歩夢 (まずい……まずいよ……！)
歩夢 (不自然に思われてしまった……。ここで「もしかして歩夢、覚えてないの？」なんて聞かれたらおしまい……どうすれば)
歩夢 「急かしてなんかないよ。侑ちゃん、もしかして私を疑ってるの？」
侑 「！？」
歩夢 (私のばかっっーーーーー！！ そんなのありえないのにっ！！ だってあの侑ちゃんだよ！？ スマイルキュートクール優しさマックス侑ちゃんだよ！？)
歩夢 (ついバレないために難癖つけちゃた……)
侑 「……」
歩夢 「……」
侑 「あ、あの遊具、懐かしいね」
歩夢 「……そ、そうだね」
侑 (バカすぎるよ！？ こんなの人類史上一番下手くそな話の逸らし方だよ！？ 私はダメな人間だ……名前は侑なのに成績は不可の人間だよ……)
歩夢 (急に遊具の話だなんて……どうしたんだろう侑ちゃん？ もしかしてあの遊具に思い出がある！？)
歩夢 「ふふ、やっぱりこの公園といったらあの遊具だよね」
侑 「……だね！」
侑 (そうなんだ)
侑 「昔は私、あの遊具が苦手だったんだ」
歩夢 「侑ちゃん、よく怖がってたもんね」
歩夢 (そうなんだ)
侑 「……」
歩夢 「……」
侑 (歩夢のことはちゃんと覚えてる、つもりだったけど)
歩夢 (侑ちゃんのことは何もかも覚えてる、つもりだったけど)
侑・歩夢 ((意外と覚えてないものなんだなぁ……))
侑・歩夢 ((仕方ないことだけど……少し寂しい……))
(ﾆ三三三三三()
||￣8￣￣8￣||
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ﾘ˶ˆ ᴗ ˆ˵*ﾒ@ ||ｷｰｺ.
○ ○ﾉ . .|| ｷｰｺ
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(三三三三()ｿ ||
|| . ||
子供 「わー！ 楽しいなー！」
親 「もう！ 走り回っちゃダメよー？」
子供 「はーい」
親 「それにしても本当にこの遊具が好きなのね……この公園にはたくさん他にもあるのに」
子供 「だって他の遊具は昔からあったから飽きたけど、この遊具は去年できたんだもん！」
侑・歩夢 「「！？」」
侑 (ま、まずい！ 早く誤魔化さないと！)
侑 「え、えっと、そうだ！ そういえばあの遊具じゃなかったや！ 私の思い出は！」
歩夢 「そ、そ、そうだったよね、私もうっかりしちゃってたよ！」
歩夢 (ど、ど、どうすれば、侑ちゃんのうっかりはともかく、さもそれが実話のように語ってしまった私がまずい！)
子供 「そういえばテレビで見たんだけど、海外行きたいなー」
親 「ふふ、将来連れて行ってくれるのかしら？」
子供 「他力本願は良くないよーお母さん」
歩夢 (海外……海外って言えば昨日テレビで見たナイアガラの滝は壮大だったなあ……)
歩夢 (ってこんな物思いにふけてる場合じゃない！！！！ 早く誤魔化さないと！)
歩夢 (侑ちゃんが昔怖がっていたものの代わりの思い出を……！ 怖がっていたもの、怖がっていたもの、怖いもの、怖いもの……)
歩夢 「バンジー！！」
侑 「！？」
歩夢 「侑ちゃんが昔怖がっていたのはあの遊具じゃなくて、バンジージャンプだよね」
侑 「そ、そうだね？？」
侑 (また思い出せないエピソードが！！)
侑 「ど、どこのバンジーだったっけなぁ？」
侑 (歩夢！ ヒント！ 思い出すヒントプリーズ！！)
歩夢 (どこ！？ バンジーできる場所なんて……そんな高い場所なんて私知らない……)
歩夢 「な」
侑 「な？」
歩夢 「ナイアガラの滝」
侑 「！！？」
歩夢 「覚えてないの？ 侑ちゃん？」 ﾆｺﾆｺ
歩夢 (いやいつもの笑顔で誤魔化せるわけがないよっ！！ なにナイアガラの滝でバンジーって！！ 愛ちゃんでもまだマシなギャグ言うよ！！)
侑 (ナイアガラの滝！？ 私パスポート持ってたっけ！？ 不法入国！？ っていうかナイアガラバンジーは私じゃなくても怖いよ！？)
侑 「……」 ﾄﾞｷﾄﾞｷ
歩夢 「……」 ﾄﾞｷﾄﾞｷ
侑 「うっ」
侑 「ううっ……うっ……うわぁぁぁぁーーーーー……！！」 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
歩夢 「侑ちゃん！？」
侑 「ごめん歩夢ぅ……全部、全部嘘なんだ……私この公園のこと覚えてないし、バンジージャンプなんて記憶にないんだ……ごめん、歩夢ぅ……こんなダメな幼馴染でごめん……！」 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
でも二人とも顔はニッコニコなんだよね
と思ったらついに侑ちゃんが崩れた
歩夢 「……」
歩夢 「うっ」
歩夢 「うわぁぁぁぁぁーーーーーーん！ ごめんなさい、ごめんなさい……」 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
侑 「歩夢！？」
歩夢 「ごめんなさい……侑ちゃん……私も嘘ついてたの、お互い様なの、侑ちゃん……お願い、こんな私を嫌いにならないで……侑ちゃん……ごめんなさい侑ちゃん……！」 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
侑 「歩夢……！」
歩夢 「侑ちゃん……！」
ﾀﾞｷｯ
侑・歩夢 「「うわぁぁぁぁーーーーーん」」 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
…
…
…
かすみ 「そしてその嘘の思い出を本物にするために、ナイアガラの滝でバンジーをしに行くと……」
しずく 「そうみたい……」
果林 「あの二人にはやっぱり勝てないわね」
かすみ 「ところでせつ菜先輩はどこに？」
愛 「せっつーは一緒にナイアガラの滝に行ったよ？」
しずく 「えっ？」
愛 「なんでもバンジージャンプを一度は体験してみたかったんだって」
…
…
…
侑 「こんな高いところからバンジージャンプなんてできないよぉ」 ｶﾞｸｶﾞｸ
歩夢 「うぅ」 ｶﾞｸｶﾞｸ
侑 「で、でも！ こういう壁を一つ越えるたびに、歩夢との思い出が増えるなら、頑張ってみせる！！」
歩夢 「侑ちゃん……///」
？？ 「先に私が行っても良いですか、侑さん」
侑 「って！？」
せつ菜 「まさにDIVEですね！！！！」 ｷﾗﾝ
侑 「せつ菜ちゃん！？」
せつ菜 「そう高くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」 ﾋｭｰｰｰｰｰ
侑 「せつ菜ちゃん……！ 臆せずカッコいい……！！」 ｷﾗｷﾗ
歩夢 「……敵はすぐ近くにいるんだね」 ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ
おわり
オチも上手くて面白かった。カップルが2人でできるバンジーもあるからゆうぽむはそれでどうぞ
これが恋人たちの恋愛頭脳戦ですか…
>>48ここでさりげなく愛さんディスられてて草 ありがとうございました！
幼馴染の絆はやっぱり素敵ですね。バンジージャンプ怖すぎてやったことないんですけど、せつ菜ちゃんなら迷わずダイブできそう、と思ってこのオチにしました。
前作
せつ菜 「しりとりを強制的に終わらせる果林さん」
前々作(ていうかまだ執筆中。遅筆で申し訳ないです。今日か明日には完結したい！)
果林 「はっぴーばーすでー？」
他の書いた虹ヶ咲ss
かすみ 「かすみんは学びます！」
愛 「かすみんのライブにテレビが！？」
かすみ 「今日はかすみんの誕生日～♪ 楽しみだなぁ～♪」
歩夢 「せつ菜ちゃんの方が大事なの！？」侑 「違うよ」
璃奈 「令和って元号カッコいい、好き」 愛 「ほう」
果林 「小説家 朝香果林」
はっぴーばーすでーと同じ人だったのか。読んでるけど気付かんかった
おつおつ
令和の人だったか
あなたのSSすごいギャグセンスあるし、ほどよくゆうぽむあって最高だよ
テンポいいし終始面白かった
過去作いくつか知らないのあるから読んでみるわ
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