https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46163430V10C19A6EA2000/ 米がイラン包囲へ攻勢 攻撃「証拠」次々、英が足並み
2019年6月15日 22:30
【ワシントン=中村亮、ドバイ=岐部秀光】中東で13日に起きたタンカー攻撃を巡り、米国がイラン包囲網を強めている。イランが事件に関与したとする証拠を次々と示し、英国が足並みをそろえた。一方でイランは猛反発し、中国やロシアに接近する。タンカー事件を巡る対立は関係国を巻き込み、国際社会の分断に発展するおそれが出てきた。
「機密を解除して情報をできる限り公開していく」。シャナハン米国防長官代行は14日、ホルムズ海峡付近で起きたタンカー2隻に対する攻撃にイランが関与したと指摘した上でこう力説した。具体的には攻撃に使われた爆弾の種類や製造元の情報を挙げた。
米軍は精鋭部隊のイラン革命防衛隊が攻撃後にタンカーに近づき不発の機雷を除去したとする映像を公開した。14日には米軍当局者が攻撃を受けたタンカー周辺を飛行していた米国の無人偵察機に対し、イランが地対空ミサイルを発射したと明らかにした。
元国務省高官のマイケル・シン氏は米国の矢継ぎ早の情報提示について、情報収集能力の強化が効果を上げている可能性を指摘する。米政権は5月下旬、情報収集部隊を中心に1500人の増派を決め、無人偵察機の運用を拡充した。シン氏は「未公開の証拠資料が多く残っている」とみる。
米国に同調する動きもある。英国のハント外相は14日、タンカー攻撃へのイランの関与は「ほぼ間違いない」と断言した。英国はイラン核合意を一方的に離脱した米国と距離を置いてきたが、イラン批判に転じた。
主要国で米国に足並みをそろえるのは英国が初めて。米国は関係国を取り込んでイランの包囲網を築くことを狙う。イランと敵対関係にあるサウジアラビアもタンカー攻撃の背後にイランがいるとの立場を取る。
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